2 景色

A君は部屋の外に出ました。A君が目覚めた部屋は一部屋しかない家の中でした。

A君は周囲を見回しました。どうやら田舎のようです。周りには畑のような所があって、花がたくさん咲いていました。

(とりあえず、地獄ではなさそうだ。)

A君は綺麗な花を見て、地獄の光景ではないと判断したのでした。

 

A君は歩き出しました。田舎なので、このままでは誰にも会えそうになかったからです。

誰かに会って話を聞かないと、ここはどこなのか、これからどうしたら良いのか、何も分かりません。

 

A君は歩きました。

ですが、不思議です。歩いているのに、歩いている感じがしないのです。ただ、移動しているような、不思議な感じでした。

どう考えても、この世ではありません。間違いなく死後の世界だと思いました。

 

A君は思いました。

(暑くも寒くもないけど、ここは春か秋なのかな。それだったら、この服は薄いかな。)

A君は半袖を着ていたのです。

(長袖の季節かな。長袖が要るな。)

 

その瞬間でした。A君の服は長袖になっていました。

(あれ、不思議だ。思ったとおりになった。

ここはきっと天国だ。)

 

A君は大喜びです。

天国の住人といえば、思いつくのは、天使や仏様、神様です。

A君は嬉しくなりました。

しばらく歩くと、少し離れた所に人が立っているのが見えました。

若い男性のようでした。

A君は大声で声を掛けました。

そして、その人の方に向かって走りました。

すると、どうしたことでしょうか。すぐに側に着きました。走るのが速いのでした。息も切れず、軽やかに走れたのです。

やはり、天国は違います。

 

A君は天国の住人に話しかけました。

 

それから、しばらくして、A君はうつ伏せになっていました。

天国の住人に叩かれ、蹴られ、いえ、正確には、叩かれたような感覚、蹴られたような感覚になって、倒されたのです。

(ここは地獄だったのか。)

 

A君はまだ何も分かっていませんでした。

 

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