人が死ぬと、この国ではお通夜や葬儀が行なわれる。
棺に入った故人の顔を見ると、涙が止まらなくなる人もいる。
しかし、霊魂学は言う。
「その人はもうそんな所にはいない、いくら棺の中に花を入れても、本人が気付く事はない」と。
火葬前の場合は、大抵の人は幽体が肉体から離脱している。
高齢の方が亡くなられた場合は、まず間違いなく、意識は肉体から離れてしまっている。
死者にとっては、それからが大切なのである。
その時点では、夢を見ている状態の人が多いけれども、しばらくすると、幽質の世界で目覚めることになる。
その時の不幸を知る人はいない。